【頂上決戦 2】
ぼくをもってしても解決できない謎。
それが、我が家の序列問題だ。
別に序列によって態度を変えようとは思わない。ぼくが毎日共同生活を送る上で、単純に飼い主の関係性は頭に入れておきたいというわけだ。
しかし、いざ考察してみると、彼らの関わり方には奇妙な点が多いのだった。
ペットショップでの記憶が蘇る。
鏡越しに初めてアイちゃんとロン君を見たときは、オーソドックスに仲のいいカップルがペットを探しにきたのだと推測した。
試しに抱っこされると、特にロン君からは大絶賛を受けた。絶対に一緒に帰るのだという気迫が、彼の全身から滲み出ていた。
違和感を覚えたのは会計の瞬間だ。
ぼくは彼らの自宅まで運んでもらうため、装飾された段ボールに移動させられた。その最中にこれからの飼い主のいる方を一瞥すると、クレジットカード端末を操作しているのは、予想に反しアイちゃんの方だった。
ロン君は、俗にいうヒモということか?
そんな疑問は、生活するとさらに深まった。
アイちゃんは無論だったが、ロン君も普通に働いていた。しかも、生活費は折半にしているらしい。それでいて、婚姻しているとも見受けられなかった。
それに加えて、ロン君は幾度となくぼくたちに高そうなおやつやおもちゃをプレゼントしてくれた。
新しい形のアベックかと思案したが、彼らがカップルのように愛情を示している様子もあまり見たことがなかった。
「あのさ、うちの飼い主の関係性ってどういう感じだと思う?」
ラキちゃんに訊いてみた。
「一つ言えることは、同居人ってことでしょ」
彼女はそう答えた。
そんなことは見たらわかるだろーが。
口に出してしまうと、ラキちゃんからまた冷たい扱いを受けそうだったので、ぼくは、なるほどね、と返した。
そんなぼくの返答を聞いて、ラキちゃんはそんなこともわからなかったのかとでもいうように鼻で笑った。
彼女からは頭が悪いように評価されているのかもしれないが、ぼくはどちらかといえば頭のいい猫だ。
ぼくは能ある鷹だから爪を隠すことにした。
それでも、ラキちゃんの小馬鹿にした表情を見たら、ちょっと引っ掻きたくなった。

